花の王といわれる中国渡来の花。初夏、白や紅、黒紫など芳香のある大輪の花を咲かせる。
花の姿は華麗で、寺社の庭園などで観賞用に栽培されてきた。
漢詩人、なかでも白楽天が好んで詠んだ。
俳句でも牡丹の名句が多く詠まれているが、画家でもあった蕪村にとりわけ多い。
奈良の長谷寺、当麻寺が牡丹の寺として有名である。
この世から三尺浮ける牡丹かな 小林貴子
四月から七月にかけて産卵されるカルガモの子供。色は大体褐色。
湖沼、河川、池など淡水の水辺におり、都市の公園などでも見ることが出来る。
成長した小鴨が親鴨の後をよちよち歩く姿は愛らしい。
軽鳧の子のみんな同じでみなちがふ 市川葉
初夏、花が散って若葉となったころの桜をいう。
花が散って葉桜になってしまったという惜しむ思いと、
桜若葉の美しさを愛でる思いが交錯する季語である。
子季語の「花は葉に」は、葉桜を眺めながらも散り果てた花を忍ぶ思いがある。
葉桜や人に知られぬ昼あそび 永井荷風
ユリ科の多年草。収穫されなかった葱は太い茎の上に、球形に白い花を密集させる。
蕾のときの橋の欄干の擬宝珠に似たものが葱坊主と呼ばれるものである。
葱坊主日暮れとなりて雨あがる 高橋涼月
初夏の初々しい若葉の緑をいう。
その頃のさわやかな気候ともあいまって、目にしたものの気持ちを清々しくしてくれる。
また段々と緑を増してゆく木々の微妙な色の違いも、この季節ならではのもの。