酔狂 Calligraphy : 5月 2013

2013年5月26日日曜日

初夏の俳句を書く 新緑


初夏の初々しい若葉の緑をいう。
その頃のさわやかな気候ともあいまって、目にしたものの気持ちを清々しくしてくれる。
また段々と緑を増してゆく木々の微妙な色の違いも、この季節ならではのもの。

摩天楼より新緑がパセリほど  鷹羽狩行


2013年5月25日土曜日

夏の俳句を書く 睡蓮

七月から八月にかけて、水面に浮かぶように咲く花。
蓮によく似るが、蓮のように茎が立ち上がらない。
印象派のモネが好んで描いた花でもある。
子季語のヒツジ草は日本の野生種の睡蓮で、
未の刻に萎んだり開花したりするからこの名があるといわれる。

睡蓮にコーヒーの香の強すぎる清水逍径


2013年5月23日木曜日

夏の俳句を書く 青蛙


カエル目アオガエル科の両生類のうち一般に表面が緑色をした蛙の総称。
本州、四国、九州の丘陵や平野の水辺に棲息。
体長四~八センチとやや大きい。
正確には雨蛙とは別種であるが、多くの場合に混同される。
青蛙ぱつちり金の瞼かな川端茅舍

2013年5月22日水曜日

5月の俳句を書く 五月雨



1.陰暦 5月頃に降る長雨。また、その時期。
  つゆ。梅雨。さつきあめ。夏の季語。
  古今和歌集夏「五月雨に物思ひをれば」。
  奥の細道「五月雨をあつめて早し最上川」
2.(五月雨のように)途切れがちに繰り返すこと。
   《広辞苑・第五版》

2013年5月21日火曜日

初夏の俳句を書く  著莪の花


アヤメ科の常緑多年草。山野の樹下や社寺の裏地など湿地に群生する。
剣状の葉は光沢があり、五、六月に咲く花は白色に紫や黄の斑があり美しい
蝶に似ていることから胡蝶花とも言う
朝開いて夕には閉じ、実は結ばず、地下茎で増える。

姫著莪の花に墨する朝かな杉田久女

2013年5月20日月曜日

夏の俳句を書く 五月雨



陰暦五月に降る雨。梅雨期に降り続く雨のこと。
梅雨は時候を表し、五月雨は雨を表す。
「さつきあめ」または「さみだるる」と詠まれる。
農作物の生育には大事な雨も、
長雨は続くと交通を遮断させたり水害を起こすこともある。  

さみだれや大河を前に家二軒 蕪村

2013年5月19日日曜日

初夏の俳句を書く 衣更


江戸時代、四月一日と書いて「わたぬき」と読んだ。
この日に綿入れを脱いだからだという。
今では冬から春に着用していた衣を夏物に替えることをいう。 
      
しがらみも共に脱ぎたし衣更根岸敏三

2013年5月18日土曜日

初夏の俳句を書く  牡丹



花の王といわれる中国渡来の花。初夏、白や紅、黒紫など芳香のある大輪の花を咲かせる。
花の姿は華麗で、寺社の庭園などで観賞用に栽培されてきた。
漢詩人、なかでも白楽天が好んで詠んだ。
俳句でも牡丹の名句が多く詠まれているが、画家でもあった蕪村にとりわけ多い。
奈良の長谷寺、当麻寺が牡丹の寺として有名である。

この世から三尺浮ける牡丹かな  小林貴子




2013年5月14日火曜日

初夏の俳句を書く カルガモの子

四月から七月にかけて産卵されるカルガモの子供。色は大体褐色。
湖沼、河川、池など淡水の水辺におり、都市の公園などでも見ることが出来る。
成長した小鴨が親鴨の後をよちよち歩く姿は愛らしい。

軽鳧の子のみんな同じでみなちがふ  市川葉


2013年5月13日月曜日

初夏の俳句を書く 葉桜


初夏、花が散って若葉となったころの桜をいう。
花が散って葉桜になってしまったという惜しむ思いと、
桜若葉の美しさを愛でる思いが交錯する季語である。
子季語の「花は葉に」は、葉桜を眺めながらも散り果てた花を忍ぶ思いがある。

葉桜や人に知られぬ昼あそび  永井荷風

2013年5月12日日曜日

初夏の俳句を書く  葱坊主



ユリ科の多年草。収穫されなかった葱は太い茎の上に、球形に白い花を密集させる。
蕾のときの橋の欄干の擬宝珠に似たものが葱坊主と呼ばれるものである。

 葱坊主日暮れとなりて雨あがる  高橋涼月

2013年5月11日土曜日

初夏の俳句を書く  新緑



初夏の初々しい若葉の緑をいう。
その頃のさわやかな気候ともあいまって、目にしたものの気持ちを清々しくしてくれる。
また段々と緑を増してゆく木々の微妙な色の違いも、この季節ならではのもの。

2013年5月8日水曜日

晩春の俳句を書く アネモネ




キンポウゲ科。
地中海沿岸の原産で、明治初年に渡来した。
球根からてのひら状の葉を出し、三十センチくらいの花茎を数本出して、芥子に似た花を開く。
色は赤、ピンク、紫、青、白など。

アネモネや千里の先に吾を置き栗林千津

2013年5月7日火曜日

晩春の俳句を書く 海女




海に潜って、貝類や海藻類を採取する女性のこと。
磯近くでもぐる磯海女と、沖へ出て漁をする沖海女とがいる。
春の若布採の解禁のころからから潜り始める。

還暦の海女の被れる真水かな宇多喜代子

2013年5月6日月曜日

初夏の俳句を書く  鯉のぼり



鯉幟(こいのぼり)は旧暦5月5日の端午の節句に、男児の健やかな成長を祈って立てる。
これは鯉が出世魚で、立身出世につながり縁起が良いためである。
新暦では5月5日は春であるが、旧暦では夏にあたる。
ゆえに、端午も鯉幟も夏の季語である。



こいのぼりかたちがあってないような   山崎聰

2013年5月5日日曜日

初夏の俳句を書く  若葉風



太陽の光を透かして見える若葉には、筆舌に尽くし難い美しさがあり、
木の種類によってもまた、おのおの独自の色相を持っています。
晴れた日ばかりか雨の風情にも 


往き来する天空回廊若葉風藤生理可


2013年5月4日土曜日

初夏の俳句を書く  牡丹




花の王といわれる中国渡来の花。初夏、白や紅、黒紫など芳香のある大輪の花を咲かせる。
花の姿は華麗で、寺社の庭園などで観賞用に栽培されてきた。漢詩人、なかでも白楽天が
好んで詠んだ。俳句でも牡丹の名句が多く詠まれているが、画家でもあった蕪村にとりわ
け多い。奈良の長谷寺、当麻寺が牡丹の寺として有名である。

この世から三尺浮ける牡丹かな   小林貴子